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登録日: 2008.01.20 記事: 2533
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日時: Tue Oct 11, 2022 5:00 pm 記事の件名: 京都のアルティで「源氏物語」題材に創作オペラ 和歌をアリアで |
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源氏物語を題材にした創作オペラ「倭歌劇(わかげき) GENJI」(作曲・尾上和彦)が古典の日の11月1日、京都市上京区の府民ホール・アルティで披露される。物語に登場する和歌をアリアとして歌いあげる趣向で、能舞台を想起させる空間に日本人の心のありようを体現する。
音楽監督を兼任する尾上は、作品の前身となる「月の影」(2009年、宇治市初演)や源平合戦をテーマにした「藤戸」などを手がけ、日本の古典と西洋音楽とを融合してきた関西クラシック界の大御所。次期びわ湖ホール芸術監督に内定している京都市出身の阪哲朗が指揮を担う。
歌手陣は、欧州を拠点に活動する向日市出身のソプラノ林田明子、京都市立芸術大OBで光源氏役のテノール山本康寛ら11人。室内楽奏者6人を含め、関西ゆかりのアーティストで固めた。
9月中旬には、高槻市内で女声キャストの稽古が行われた。
光源氏の母・桐壺と、光源氏が愛した紫の上の2役を演じる林田は、女房役の女声2人とともに、衣装スタッフの手を借りて華やかな平安装束をまとう。阪の指揮で、電子ピアノが館内に響き、それに合わせて林田らが物語の一節を高らかに歌う。
阪は「音程だけを追うと(全体の)方向性があいまいになる」「同じ音の(繰り返し)は、上がると思って」などと手ぶりもまじえて指導していた。
演出は、オペラの演出経験もある劇作家、劇団主宰者の右来左往。「和歌のアリアは字幕も使って、物語のイメージを分かりやすく観客に伝えたい」といい、「監督と指揮者、声楽家、私、それぞれの視点から四つどもえで意見を出し合っている」と現場の熱気を語る。
尾上は、新型コロナウイルス禍でこの公演が決まってから、出演人数の増減に対応できるよう楽譜を書き分けるなど、練習開始直前まで手を加えてきた。80歳での集大成となる公演を前に「紫式部こそが、愛憎から恨みを経て現れたもののけ(生き霊、死霊)を描いた初めての文学者だろう。和歌のアリアを通じて、人間の業を描きたい」と話す。=敬称略
メモ 創作オペラ「GENJI」は11月1日午後1時半と同6時半の2回公演。六条御息所役に並河寿美、頭中将と柏木役に萩原寛明。ピアノ武知朋子、チェロ日野俊介。前売り5千円、学生2500円。アルティ075(441)1414。 |
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