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登録日: 2008.01.20 記事: 2543
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日時: Fri Apr 15, 2022 4:43 pm 記事の件名: 歌舞伎の華を気楽に 京都・南座の「歌舞伎鑑賞教室」、5月に7年 |
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「歌舞伎はハードルが高そう」「四条大橋は通るけど、南座には入ったことがない」―。そんな初めての人でも、解説付きで割安に楽しめる京都・南座(京都市東山区)の「歌舞伎鑑賞教室」が5月中旬、7年ぶりに復活する。開幕前の大型連休(GW)中には、南座の舞台に立って、歌舞伎ならではの回り舞台や花道を体感できる「舞台体験ツアー」も開催。役者気分になって記念撮影ができる。=敬称略
京都の桜は見頃を終えても、今年は南座の舞台上で5月まで咲き続ける。
鑑賞教室では今回「吉野山」を上演する。歌舞伎の三大名作「義経千本桜」という長い芝居の中の一幕。源義経の愛妾(あいしょう)・静御前と、お供の佐藤忠信(ただのぶ)(実は狐(きつね)が化けている)が義経を追って旅する姿を舞踊で描く。
1999年の鑑賞教室では片岡愛之助が忠信、上村吉弥が静を踊った。当時の写真を見れば分かるように、舞台の背景には桜満開の奈良・吉野山が広がる。
鑑賞教室は、1階席でも3階席でも同じ料金。間近で見られる1階席は、師走の顔見世ならば例年2万円ほどする。今回の鑑賞教室は3500円。かつては全席自由席で当日に良席に座ろうと南座前に長い行列ができたが、今回から全席指定となり、チケット予約時に好きな席を先着順で選べる。公演は5月12〜18日。
さらに今年は「吉野山」の桜満開のセットを事前に作り、装飾した舞台を公開する「舞台体験ツアー」を4月29日〜5月8日に開く。参加費1500円。1日5回、数十人の定員制。
参加者は、京で発祥した歌舞伎や、江戸時代から400年にわたり同じ場所で芝居を上演し続けている南座の歴史や構造を解説で聞き、花道を通って舞台へ。
回り舞台(直径13メートル)に乗ってメリーゴーラウンドのように舞台が回るのを体感したり、舞台の一部が上下する「せり」に乗って奈落から上がってきたり、どん帳の裏側など舞台裏を見たりできる。写真や動画の撮影も可能。館内には「まねき看板」なども展示する。詳細は松竹0570(000)489へ。
■片岡千壽や上村吉太郎ら上方の若手を抜てき、解説役には茂山逸平
南座の「歌舞伎鑑賞教室」は1993年に始まり、南座が耐震改修に入る2015年まで毎年開かれていた名物公演。従来は上方歌舞伎の貴重な女形・上村吉弥(66)が主演し、落語家の桂九雀(61)が解説役を担ってきた。復活を機に、上方の若手役者を抜てきし、若返りを図る。
「吉野山」では静御前を片岡千壽(せんじゅ)(40)、忠信を上村吉(きち)太朗(21)が演じる。上演前には「歌舞伎のいろは」と題し、京都の狂言師、茂山逸平(42)による解説コーナーを設ける。
千壽は、昨年5月に亡くなった京都育ちの人間国宝・片岡秀太郎の弟子。「師匠が亡くなり、1年という節目に大役の静御前をさせていただける。旦那(秀太郎)にも見られている気がするので懸命にやりたい」
一方、吉太朗は8歳の時、南座の顔見世で片岡我當(がとう)(87)の部屋子(内弟子の子役)に。鑑賞教室にも子役時代から出演し、吉弥のもとで「連獅子」の仔(こ)獅子など大役に挑んできた。「鑑賞教室は客席に学生さんが多い。同年代や年下の中高生の方にも、ぜひ気軽に見に来てほしい」と、ツイッターなどSNS(交流サイト)で積極発信したいという。
歌舞伎の「吉野山」は義太夫(竹本(たけもと))と江戸浄瑠璃の清元(きよもと)が掛け合う形での上演が多いが、今回は人形浄瑠璃文楽と同様、義太夫のみに合わせる。もともと「義経千本桜」は人形浄瑠璃で初演され、上方で育った作品。千壽と吉太朗は上方の役者として、上方ならではの古風な舞台を志す。
静御前と忠信が並ぶと恋人のように見えかねないが、あくまで主従。「愛之助さんからも『そこを忘れないように』と言われました」と千壽。吉太朗は「忠信の武士らしさと実は狐というかわいらしさ。そのギャップを大切にしたい」。
千壽は、99年の鑑賞教室で「吉野山」が上演された際、まだ駆け出しの若手で舞台裏を黒衣姿で走り回っていた。二十数年たち、静御前を演じることに「身の引き締まる思い、恐ろしい思い…いろんな思いがあふれます」と万感を込める。
一方、逸平は「京都人として、南座で芝居が上演されていると、やはりテンションが高まります」と話し、解説役については「せっかく狂言師がやるのですから、能狂言と歌舞伎の違い、例えば橋掛(はしがか)りと花道の違いなども分かりやすく伝えたい」と考えている。 |
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