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登録日: 2008.01.20 記事: 2533
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日時: Sun Aug 22, 2021 5:36 pm 記事の件名: 獅童、超歌舞伎で京都ならではの深化誓う 初の悪役・初音ミクと |
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歌舞伎俳優の中村獅童(48)と、CGのバーチャルアイドル・初音(はつね)ミクが共演する「超歌舞伎」が9月、京都・南座に帰ってくる。南座では初お目見えだった19年の夏以来。今回は土蜘(つちぐも)伝説を基に、ミクが初の悪役に挑む京を舞台にした新作「御伽草紙戀姿絵(おとぎぞうしこいのすがたえ)」を披露する。獅童は「古典にこだわり、革新を追求するのが超歌舞伎」と語り、歌舞伎発祥の地・京都ならではの深化を誓う。=敬称略
超歌舞伎は、千葉・幕張メッセと南座だけでしか上演されていない。
幕張ではイベント「ニコニコ超会議」で2016年から毎年4月に演目を替え上演。5千人が入る客席は、ネット世代の若者が多くを占める。ライブ配信もあり、今年は33万人が見た。
一方、南座の客席数は千人強。コロナ禍の中、今回は1公演あたり600人に抑えるが、「伝統ある歌舞伎の劇場で、新しい試みの超歌舞伎をやらせてもらえる意味は大きい」と獅童。「2年前は京都という土地柄、昔からの歌舞伎ファンの方も大勢いらっしゃり、さらに小さなお子さままで幅広い世代に喜んでもらえた。今年は、より歌舞伎らしく、細やかな演出や仕掛けを考えたい」と語る。
メインの「御伽草紙―」は「土蜘」を中心に多彩な古典を基にした新作。今年4月の幕張で初演した。
ミク演じる傾城(けいせい)(最高位の遊女)は、亡き平将門の娘。京で傾城となって反撃の機会を狙っていたが、宿敵の源頼光(よりみつ)(獅童)に恋をして、殺されてしまう。その魂は、日本の魔界化をたくらむ物の怪(け)によって蜘蛛と合体。頼光と戦い…。
ミクはCGで舞台上に現れ、セリフはボーカロイド(合成音声)で出す。年々技術が進歩し、今回は劇中で、ミクが歌いながら舞う「拍子舞(ひょうしまい)」(振り付け・藤間勘十郎)に挑む。蜘蛛と合体して恨みの形相となる隈取(くまど)り姿、千筋の蜘蛛の糸を投げつける立ち回りもある。
一方、獅童らが大切にするのは、あくまで歌舞伎の伝統的な表現手法。セリフの発声や見得(みえ)の切り方、衣装や化粧は古典のままを踏襲。暗闇で登場人物が探り合う「だんまり」、「忠臣蔵」七段目のような京の廓(くるわ)ならではの華やかな下座音楽、「寅(とら)の年・寅の月」生まれの人物が自ら犠牲になっていく愁嘆場、名刀の力…歌舞伎ファンにはおなじみの要素を多く盛り込む。
伝統芸能と先端デジタル技術が融合する中、さらに進化するのが観客参加型の趣向。歌舞伎には掛け声が付きもので、超歌舞伎でもコロナ禍前は、獅童には「萬屋(よろずや)!」、ミクには「初音屋!」という掛け声が客席から飛び交っていた。
コロナ禍で掛け声禁止の今回は、観客にペンライトで応援してもらい、その光をNTTの最新デジタル技術を生かして頼光(獅童)がまとい、力にする新演出「超越の術」を見せる。
また、もう一演目の歌舞伎舞踊「都染劇場彩(みやこぞめかぶきのいろどり)」は、今回が初演の新作。獅童とミクが雪月花を舞踊で表し、古典「石橋(しゃっきょう)」を基に、獅子の毛振りも見どころとなる。
「歌舞伎は、もともと時代の先端を常に取り入れてきた。超歌舞伎をやるのは必然であり、歌舞伎本来の姿ともいえる」と獅童。「コロナ禍でも、こうした舞台ができると証明したい。100年後、200年後も歌舞伎が伝わるよう、今を生きる我々がやるべきことをやり、乗り越えていきたい」と力を込めた。 |
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