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今をつくる、茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術

 
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登録日: 2008.01.20
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記事日時: Mon Dec 26, 2016 4:24 pm    記事の件名: 今をつくる、茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術 引用付きで返信

 黒と赤に象徴される樂茶碗。その黒い茶碗の奥底に、人は無限に広がる宇宙を見る。赤はさしずめ「生」のエネルギーの発露か。京都市左京区の京都国立近代美術館で「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」展が開かれている。初代長次郎以来の歴代の逸品を一堂に展示。十五代樂吉左衞門さんまで、それぞれの「今」が交錯する。

 樂茶碗は約450年前、わび茶を大成した千利休の求めに応え、長次郎が生み出した。手捏(てづく)ねで形造り、極限まで土をそぎ落とす。一切の装飾性を廃した茶碗は、それまでの美の系譜に連ならない新たな焼きもの、「今焼(いまやき)」として、人々に受け入れられた。

 以来、現代に至るまで、歴代が「茶碗」という宇宙に向き合い、時代の気配を感じて試行錯誤を重ねてきた。

 本阿弥光悦の影響も受けた三代道入はおおらかさや軽やかさを感じさせる。四代一入は黒釉(こくゆう)に朱色が溶け合う朱釉(しゅぐすり)を生みだし、五代宗入は長次郎への原点回帰を探った。戦前戦後を過ごした十四代覚入は、現代性を融合したモダンな作風を築き、十五代吉左衞門さんは篦跡(へらあと)が際立つ焼貫(やきぬき)を…。自らの哲学を茶碗に求める「一子相伝」の姿勢が「今」をつくる。展示は2017年2月12日まで。

■樂吉左衞門さんと中谷美紀さん特別対談

 樂家の歴代の逸品を一堂に展示する「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」展開催を前に、十五代樂吉左衞門さんと映画「利休にたずねよ」で千利休の妻・宗恩を演じ、初代長次郎の黒樂茶碗「万代屋黒(もずやぐろ)」を手にした女優中谷美紀さんが特別対談した。伝統の継承や表現者としてのあり方について意見を交わした。

 ◇一子相伝の教え

 中谷 十四代覚入の言葉で「伝統とは決して踏襲ではない。自分の時代を生き、自分の世界を築き上げねばならない」とあります。それを背負い、伝統と革新の間でどのように生きてらしたんでしょう。

 樂 父は秘伝を問われると、「親から子へ受け継ぐことは『教えないこと』です」と貫き通した。そう聞くと、分からないことがあっても絶対に聞くものか、父の作風に絶対に似たくないと思ってきました。

 長次郎は「今焼(いまやき)茶碗」。現代美術と同様、非常に新しく誰も見たことのないものを造るのが樂茶碗の始まりです。種壺(たねつぼ)や食器を作ったところから順に茶の湯の文化と出合い、茶碗を造り始めるという歴史ではない。

 樂茶碗は、古い長次郎を見て何らかの精神を受け取り、同時に時代の中で生きてきた。そこが大切なんです。長次郎を模しただけなら、おそらく3代で滅びていた。その意味では歴代がしっかりと時代の中で闘った跡が茶碗の中に一つ一つ語られています。

 ◇表現者として

 中谷 一人の人間がいろんな役を演じるには、どうしても限りがある。背格好も声も多少作ったとしても。そんな中で自分という人間をいかに消せるかを心がけています。媒体に徹するということですね。極力、小説や脚本、監督が伝えたいことを伝える道具になりたいと思っています。

 樂 中谷さんの言われたことは、まさに長次郎。この茶碗はそいでそいで、形の変化も仁清のような美しい文様も一切そぎ落としてしまった。「美」とは加えることです。白いカンバスに色を置いたり。逆にそぐことを極限まで進めたとき、どこで表現としてとどまるのかという問題とまともにぶつかる。

 樂茶碗は時代の中で生きると言いましたが、歴代は個をしっかりと主張している。江戸初期の道入のモダンがあるし、元禄は元禄の表現がある。長次郎だけが没個性のすごさを持っている。そこはなかなか至れない。

 僕の茶碗も常に新しい自分でありたいと思っている。自分の中を探っていくと、いろんな自分が見えてくる。それが表現に通じる。
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