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登録日: 2008.01.20 記事: 2495
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日時: Wed May 10, 2023 6:17 pm 記事の件名: 時空超え京都の寺社巡り 京都・平安神宮「京都薪能」の見どころ |
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平安神宮(京都市左京区)にいながら、時空を超え、洛中洛外いろんな寺社巡りができる。今年の「京都薪能(たきぎのう)」(平安神宮で6月1、2日)は、清水寺や仁和寺、貴船神社など京の寺社を物語の舞台にした能・狂言8演目をそろえた。かがり火に照らされた平安神宮の野外舞台からは、同じ京の空のもと、脈々と積み重ねられてきた神仏や人々の営みに思いをはせられる。=敬称略
室町時代に京で大成された能・狂言。能では現行曲として伝わる200余りの演目がある。うち70近くは京都が物語の舞台で、ほかにもゆかりの作品は多い。
京都薪能は1950(昭和25)年に始まり、その後、全国各地に薪能が広がった先駆けとなった。平安神宮を会場に、毎年6月初めの風物詩になっている。
コロナ禍で2年連続中止となり、昨年は3年ぶりの開催となったが、客数に制限があった。今年は4年ぶりに最大2千席を並べる。
主催する京都能楽会の井上裕久理事長は「京都のまち全体が復活する安寧の願いを込め、京都が舞台の演目をそろえた」と趣向を語る。観世や金剛など流派を超えて京の能楽師が集う。
◇初日◇
6月1日は清らかな初夏の能「賀茂(かも)」で幕開け。下鴨神社の神(役者=松井美樹)が天女ノ舞を舞い、子である上賀茂神社の神(深野貴彦)が雷鳴とともに雨を降らせて実りを祝す。
続く能「熊野(ゆや)」は桜満開の清水寺が舞台。平宗盛(むねもり)に愛され、花見に連れられて来た女・熊野(金剛永謹(ひさのり))が、
東国にいる病の母への思いを胸に舞い、「いかにせん、都の春も惜しけれど…」と詠む。華やかさと憂いの交じる春愁を表す。
狂言「鬼瓦(おにがわら)」は、下京の因幡(いなば)堂を訪れた大名(茂山七五三(しめ))が、お堂の鬼瓦と、故郷に残した妻の顔がそっくりだと気付く。大名は懐かしさで泣き出し…。
最後の能「舎利(しゃり)」は、東山の泉涌(せんにゅう)寺が舞台。現れた里人(河村浩太郎)は、まつられた仏舎利(ぶっしゃり)(釈迦(しゃか)の遺歯)を奪う足疾鬼(そくしつき)(大江広祐)だった。仏舎利を取り返そうとする韋駄天(いだてん)に天界まで追われる姿を描く。
◇2日目◇
2日は仁和寺ゆかりの能「経正(つねまさ)」から始まる。平経正は琵琶の名手だったが、源平合戦で戦死。仁和寺で法要が営まれると経正の霊(廣田幸稔)が現れ、昔をしのび琵琶を奏で舞う。金剛流の小書(こがき)(特殊演出)で本物の琵琶を舞台に出す。
続く能「百万(ひゃくまん)」は、生き別れたわが子を捜し続ける女曲舞舞(くせまいまい)・百万(味方玄(みかたしずか))が主人公。清凉寺(嵯峨釈迦堂)で物狂いとなっていた。
♪花の浮木(うきき)の亀山や 雲に流るる大堰(おおい)川 まことに浮世の嵯峨なれや―と舞っていると、仏の功徳もあり、子と再会を果たす。
狂言「石神(いしがみ)」は幸神社(さいのかみのやしろ)(上京区寺町通今出川上ル)が舞台とされる。ぐうたら亭主(茂山千五郎)が石神にふんし、離縁の良否を占いに来た女房を思いとどまらせようとするが…。
最後は貴船神社の丑(うし)の刻参りが題材の能「鉄輪(かなわ)」。夫に捨てられた女(分林道治)が鬼(林宗一郎)となり、夫と新妻を襲おうとする。
松明(たいまつ)をともす鉄輪を頭にのせて現れるが、安倍晴明の祈祷(きとう)がたちはだかる。
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両日とも午後6時開演。8時半終演。雨天時は近くのロームシアター京都に会場を変える。前売り4千円(当日千円増)、学生3千円。今年から舞台正面の最前列〜9列目の約150席を指定席(7千円)にした。事務局075(754)0331。
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イヤホンガイドや公開講座
初心者でも親しめるよう京都薪能は趣向を凝らす。近くのロームシアター京都では無料の公開講座「能の世界へおこしやす」を薪能当日6月1・2日の昼2時から開催。能や狂言の約束事を解説する。予約なしで誰でも参加できる。
京都薪能本番では、各演目のポイントを茂山家の狂言師が軽妙に伝える「ナビ狂言」を上演前に付ける。
演能に合わせ解説が聞けるイヤホンガイド(千円)は日本語と英語を用意。外国人観光客にも対応する。
無料プレ公演も
京都薪能を、まちなかでアピールする見学無料の「プレ公演」が5月7日と20日にある。7日は京都市役所前広場で能「鉄輪」(松野浩行)、20日はイオンモールKYOTO(南区)で狂言「鬼瓦」(茂山千之丞)と能「鉄輪」(杉浦豊彦)を披露する。両日とも午前11時と午後2時の2回。 |
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