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「現存最古」京都の能楽堂 終戦の日に取り壊し逃れた秘話

 
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登録日: 2008.01.20
記事: 2492

記事日時: Sun Sep 19, 2021 5:34 pm    記事の件名: 「現存最古」京都の能楽堂 終戦の日に取り壊し逃れた秘話 引用付きで返信

 明治の面影を伝える能楽堂が京都の街中、京都市役所の近くにある。1908(明治41)年に創建された「大江能楽堂」。舞台と見所(けんしょ)(客席)が丸ごと建物に納まる「能楽堂」としては国内で現存最古とみられる。今も公演や稽古に日々使われ、今月、102年ぶりに舞台板を新調した。23日に記念公演を開く。

■表通りからは想像できず

 表通りからは、最大400人収容の能楽堂が奥にあるとは想像できないかもしれない。押小路通に面した屋敷風の玄関で靴を脱ぐ。廊下を通り抜けると広がる空間。畳の桟敷席が能舞台を囲む。2階のガラス戸からは自然光が注ぐ。

 大江能楽堂は戦時中、取り壊される寸前だった。空襲による延焼を防ぐための強制疎開。1945(昭和20)年7月末に取り壊し命令を受けた。楽屋や住居部分は8月13日に引き倒された。舞台などの本体を15日に取り壊そうとしていた時、終戦の玉音放送が流れ、奇跡的に残った。楽屋を壊した場所で、15日に撮ったという当時の当主・六世大江又三郎(1911〜78年)らの写真が残る。

 現在、財団法人「大江能楽堂」代表理事を務める観世流能楽師の大江信行(45)は「代々が苦労し、守ってきた能楽堂。私たちは大切に預かっているという思いで、次の世代に上手に伝えていきたい」と語る。

■「張り替えるなら今」

 もともと明治に創建したのは、信行の曽祖父で京都能楽界の重鎮だった大江竹雪(ちくせつ)(五世又三郎、1855〜1941年)だった。1919(大正8)年に増築し、当初2間(けん)半四方だった能舞台を正式の3間四方に。客席もほぼ今の形にした。祖父の六世又三郎が戦後に楽屋を建て直し、客席前方の一部を椅子席に改修。父の七世大江又三郎(77)は、阪神大震災で傾いた柱などを基礎から大改修した。

 大江定期能(年4回)を中心とした大江家や同門の公演や稽古をはじめ、近年は修学旅行生向けの能楽体験教室が年間数十日入るなど利用は伸びていた。しかし、コロナ禍で修学旅行が激減。舞台板は老朽化が進んでおり、「張り替えるなら今」(信行)と資金協力者を得て実現した。

 新しい舞台板は、奈良・吉野産ヒノキを使用。従来は拭き漆を施した黒めの舞台板だったが、今回は白い無垢(むく)のままにした。「舞台が明るくなり、鏡板も光って見える」と信行。炒(い)った米ぬかを袋に入れて舞台板を磨くことで、優しく油を染み込ませ、足袋の滑りを良くするなど舞台をなじませる作業を進めている。

 また、従来の舞台板も研磨で白木にして、囃子方(はやしかた)が座る後座(あとざ)や橋掛かりに再利用した。「橋掛かりから登場すると、前の舞台板から新しい舞台板を通ることになる。先人の思いを感じて気が引き締まります」と信行。「まずは自分たちの芸を磨き、能の愛好者の裾野を広げる場として以前にも増して生かしていきたい。コロナ後に向けて準備万端にしたい」と語る。

 20日の大江定期能(午後5時半〜8時半)では七世又三郎が舞囃子「葛城」、信行が能「藤戸」を披露。また、舞台板リニューアルの記念公演(23日午後1時〜5時)では七世又三郎の素謡「神歌」、信行の能「羽衣」、信行と弟の大江泰正(42)、大江広祐(こうすけ)(38)らの半能「石橋(しゃっきょう)」を上演する。大江能楽会075(561)0622へ。

■“最古”の能舞台は西本願寺に

 江戸時代以前の能舞台は、城や大名屋敷、社寺などの屋外に独立して建てられていた。観覧席は、白州を挟んだ所に設けられた。

 現存最古の能舞台は、西本願寺(下京区)の北能舞台(国宝)。本能寺の変の前年、1581(天正9)年の銘があり、その頃の能舞台が江戸時代初期に移築されたと考えられている。

 能舞台と客席が一体建築となった「能楽堂」は、明治になってから生まれた。国内初の芝能楽堂(東京)をはじめ、各地に建てられたが、関東大震災や戦災、老朽化などで当時の能楽堂は失われていく。

 京都でも中京区室町通四条上ルに明治期に建てられた金剛能楽堂が2000年まで親しまれたが、老朽化のため、京都御苑西側の今の金剛能楽堂(上京区)に03年に移りかわった。

 現在、能の公演が盛んな京都の能楽堂は、観世流の拠点・京都観世会館(左京区岡崎)と、金剛流の本拠・金剛能楽堂が代表格。400人超の客席がある。

 ほかにも客席や公演の数は少ないが、河村能舞台(上京区)、嘉祥閣(中京区)、冬青庵(とうせいあん)能舞台(同)、真謡(しんよう)会館(北区)などの能舞台も使われている。
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