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[quote="管理人"] 日本茶にはさまざまな種類があるが、県で唯一育成された「やまとみどり」という品種をご存じだろうか。日差しを遮らなくても深緑色の茶葉が育つことから「天然玉露」とも称されたが、生産性の低さから今はほとんど出回らなくなった“幻の茶”だ。奈良市の茶の名産地、月ケ瀬の農家では昨春、新たに苗を植え、「やまとみどり」が持つ可能性を追究している。 ◆摘み取りに8年以上? 奈良市東部の山間部にある「月ケ瀬健康茶園」。代表の岩田文明さん(42)は昨年春、「やまとみどり」の苗を植え、山間の斜面500平方メートルで育て始めた。 だが、1年近くたっても木の高さは30〜60センチほど。岩田さんは「やっぱり遅い。茶葉を摘み取るには、あと8年ぐらいかかるかも」と話した。 県北部農林振興事務所によると、「やまとみどり」は大正13年、県農事試験場茶業分場(現大和茶研究センター)が、山添村の在来種から採取した種が始まり。昭和10年には「奈良59号」の名称で全国に苗を配布、同28年には「やまとみどり」として品種登録された。 33年の県内生産面積は51ヘクタールと、盛んに栽培されたが、現在主流となっている「やぶきた」に比べると生育が遅く生産性が低いため、徐々に減少。最近はほとんど市場に流通しなくなったという。 ◆全国一遅い「新茶」 県北東部に位置する茶の生産地・大和高原は、標高200〜500メートル。4月に入っても霜が降りる冷涼な気候のため、一番茶を出荷できる時期は5月中旬〜下旬と、全国の茶産地で最も遅い。このため、温暖な静岡が発祥の「やぶきた」を生産するには、夜に風をあてて霜を防ぐ「防霜扇」が必要だ。 一方、「やまとみどり」は「やぶきた」に比べ、芽が出るのも摘むのも10日以上遅く、耐寒性や耐病虫性も強い。県北部農林振興事務所の宮本大輔さん(50)は、「設備がなかった時代には、『やまとみどり』が奈良の気候に合った茶葉だったのだろう」と推察。ただ、全国で新茶が出荷される時期に後れを取るわけにもいかない中、設備を整えれば育てやすい「やぶきた」が好まれ、「やまとみどり」の衰退につながったとみられる。 ◆深緑色の「天然玉露」 県は平成27年度から2年間、埋もれた技術や品種を評価する農林水産省の「産地ブランド発掘事業」で「やまとみどり」の研究、検証を開始。日光を遮らなくても深緑色の茶葉が育ち、深いうまみがある「やまとみどり」は、「天然玉露」とも称される。 煎茶(せんちゃ)は薄い緑色で、ほのかな香りが漂う。消費者を対象にした試飲会では「うまみが濃い」「口当たりがまろやか」と評価されたが、専門家からは「香りの良さ」「渋み、うまみのバランス」で低い評価となった。 だが、宮本さんは「抹茶なら深緑の色合いを生かした食品への利用もできる」とし、「奈良の茶としてブランド化できれば面白い」と期待する。 生育の遅さを痛感しつつも、岩田さんは「やまとみどり」をつくることに魅力を感じている。「この茶ができる時期を『大和茶の標準』と考えれば、出荷時期が遅くても独特の土俵で戦える。可能性はある」と話した。[/quote]
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投稿者
メッセージ
管理人
日時: Thu Mar 30, 2017 4:52 pm
記事の件名: “幻の茶”に再び光を 奈良で唯一育成「やまとみどり」新たに栽
日本茶にはさまざまな種類があるが、県で唯一育成された「やまとみどり」という品種をご存じだろうか。日差しを遮らなくても深緑色の茶葉が育つことから「天然玉露」とも称されたが、生産性の低さから今はほとんど出回らなくなった“幻の茶”だ。奈良市の茶の名産地、月ケ瀬の農家では昨春、新たに苗を植え、「やまとみどり」が持つ可能性を追究している。
◆摘み取りに8年以上?
奈良市東部の山間部にある「月ケ瀬健康茶園」。代表の岩田文明さん(42)は昨年春、「やまとみどり」の苗を植え、山間の斜面500平方メートルで育て始めた。
だが、1年近くたっても木の高さは30〜60センチほど。岩田さんは「やっぱり遅い。茶葉を摘み取るには、あと8年ぐらいかかるかも」と話した。
県北部農林振興事務所によると、「やまとみどり」は大正13年、県農事試験場茶業分場(現大和茶研究センター)が、山添村の在来種から採取した種が始まり。昭和10年には「奈良59号」の名称で全国に苗を配布、同28年には「やまとみどり」として品種登録された。
33年の県内生産面積は51ヘクタールと、盛んに栽培されたが、現在主流となっている「やぶきた」に比べると生育が遅く生産性が低いため、徐々に減少。最近はほとんど市場に流通しなくなったという。
◆全国一遅い「新茶」
県北東部に位置する茶の生産地・大和高原は、標高200〜500メートル。4月に入っても霜が降りる冷涼な気候のため、一番茶を出荷できる時期は5月中旬〜下旬と、全国の茶産地で最も遅い。このため、温暖な静岡が発祥の「やぶきた」を生産するには、夜に風をあてて霜を防ぐ「防霜扇」が必要だ。
一方、「やまとみどり」は「やぶきた」に比べ、芽が出るのも摘むのも10日以上遅く、耐寒性や耐病虫性も強い。県北部農林振興事務所の宮本大輔さん(50)は、「設備がなかった時代には、『やまとみどり』が奈良の気候に合った茶葉だったのだろう」と推察。ただ、全国で新茶が出荷される時期に後れを取るわけにもいかない中、設備を整えれば育てやすい「やぶきた」が好まれ、「やまとみどり」の衰退につながったとみられる。
◆深緑色の「天然玉露」
県は平成27年度から2年間、埋もれた技術や品種を評価する農林水産省の「産地ブランド発掘事業」で「やまとみどり」の研究、検証を開始。日光を遮らなくても深緑色の茶葉が育ち、深いうまみがある「やまとみどり」は、「天然玉露」とも称される。
煎茶(せんちゃ)は薄い緑色で、ほのかな香りが漂う。消費者を対象にした試飲会では「うまみが濃い」「口当たりがまろやか」と評価されたが、専門家からは「香りの良さ」「渋み、うまみのバランス」で低い評価となった。
だが、宮本さんは「抹茶なら深緑の色合いを生かした食品への利用もできる」とし、「奈良の茶としてブランド化できれば面白い」と期待する。
生育の遅さを痛感しつつも、岩田さんは「やまとみどり」をつくることに魅力を感じている。「この茶ができる時期を『大和茶の標準』と考えれば、出荷時期が遅くても独特の土俵で戦える。可能性はある」と話した。
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